少しスタンダードなタイプのカレンダーを見てみると、1月のページには「1月、January、睦月」と書いてあるのを見かけることがあると思います。
何気なく見ていましたが、ふと睦月って一体なんだろう?と思ったことはありませんか?「睦」という字は、生活の中であまり使うことのない漢字で、どうゆう意味なのかピンときませんよね。睦月という呼び方は、日本の12ヶ月を表す和風月名(わふうげつめい)のひとつです。
その意味を理解して、どうして睦月と呼ばれるのかがわかったら、少し1月の過ごし方が変わるかもしれませんよ。
睦月は何月?1月ではない?
和風月名が書かれているカレンダーなどがあるため、睦月は1月と思っている方は多いのではないでしょうか。
このように和風月名は現在の暦でも使われることがありますが、本来は旧暦に合わせた呼び名です。季節感がわかるような言葉で各月を表現していました。
日本では明治5年(1872年)まで、月の満ち欠けを基準とした陰暦を採用していました。陰暦では1か月が30日ある大月と、29日ある小月を組み合わせ、これらの月が12回訪れることで1年としていました。
しかし、現在では太陽が地球を回る周期を元にした太陽暦を用いています。このため陰暦では1年が11日も短いのです。 陰暦の1月にあたる睦月を現在の暦にあてはめると、1月下旬から3月上旬頃になります。
睦月は1月と認識していたら、睦月は真冬の真っただ中のことと思いますが、実は昔の人は3月上旬のことも表していたということになります。
睦月の意味由来・語源は?
睦月がお正月の時期を指す言葉であることはわかりましたが、なぜお正月が睦月なのでしょう?
「睦」という漢字は、あまり使うことがないかもしれませんが、仲睦まじい(なかむつまじい)、親睦会(しんぼくかい)などの言葉で見かけることがありませんか?
つまり、「睦」は、仲が良い、親しみあうなどの意味がある漢字なのです。
睦月の時期は年明け、お正月です。家族や親族、友達などが寄り合って仲良くお酒を飲んだり、美味しいものを食べて親しみあう、そんな季節を象徴している言葉なのです。
温かくてみんなが笑いあっている、とても豊かな年の始まりを感じませんか?睦月の由来はこれだけでなく諸説あります。元月(もとつき・始まりの月)が転じたものという説や、農家の人々が発芽を促進させるために稲の実をはじめて水に浸す月、実月(むつき)から来たという説などがあります。
どの説も人々の生活に根付いていて、寒い中にも仲良くみんなで年明けの季節を過ごしていたことがうかがえるようですね。
睦月の別名は?他の呼び方もある?
日本の和風月名には、同じように一月を意味する別の呼び方がいくつかあります。
先ほど登場した、始まりの年「元月(もとつき)」もそのひとつですし、現代でもなじみのある「新春」も睦月の別名です。
旧暦では、1~3月を春としていましたので、新しい春の訪れの時期という意味になります。同じような理由で「初春月(はつはるづき)」というすがすがしい名前もあります。
また、旧暦の睦月の季節は、少し冬も落ち着き、温かくなり始め緑がちらほらと顔を出す頃なので、「早緑月(さみどりづき)」という素敵な名前もついています。
めずらしいところでは太郎月(たろうづき)などとも言われます。もともと「太郎」という言葉には、「最初のものごと」という意味があるので、1月の別名とされたようです。
よく長男に太郎という名前がつくのは、そういった意味だったのでしょうね。睦月を表す言葉はとても多く、他にも初見月(はつみづき)、初空月(はつそらづき)、孟春(もうしゅん)と様々です。
人々が新しい年の始まりの月に、とても思いを込めていたことがわかりますね。
まとめ
今まで何気なくカレンダーで見ていた「睦月」ですが、その由来を深く知ってみると、日本人のお正月の過ごし方と、とても深く関係があることがわかりました。
言葉の意味や俳句の世界から覗いてみると、古き良き時代の人々が、家族や仲間とお正月を楽しく豊かに、そして少しユーモアを交えながら過ごし、新しい年の始まりを新鮮な気持ちで迎えていたのかがうかがえますね。
現代ではあまり意識されることのない睦月ですが、これからは少し、1月の過ごし方を変えたくなるかもしれません。
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